結局CPAPとナステントってどっちが良いの? 価格や効果など9つの違いを徹底比較

突然ですが質問です。

日本でいびきをかく人ってどれくらいいると思いますか?

正確な数字は分かっていないのですが、試算では2,000万人〜3,000万人と推定されています。日本の人口は約1億2千万人なので4人〜6人に1人はいびきをかいているという計算になり、割合にすると16%〜25%です。そう考えると結構多いですよね。

その中で睡眠時無呼吸症候群(SAS)の患者数は、これまた正確な数字は発表されていませんが重症度の人に限定して見ても300万人以上と言われており、軽症度の人を含めると1,200万人にも迫る可能性があるんです。こうやって見るとかなりの人数ですねぇ。

ところがこんな興味深いデータもあるんです。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)のもっとも有効な治療法と言えばこんなマスクを装着して空気を送り込むCPAP治療ですが、残念ながら実際に利用しているのは30万人程度しかいないんだそうですよ。

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「もっとも有効な治療法なのになぜそんな利用者数が少ないの?」という疑問を持たれたのではないでしょうか? 実はそれにもいろいろと理由があるんですが、それは後述しますね。

そして2014年7月にいびき・無呼吸などを解消する新しいデバイス「ナステント™クラシック」が登場しました。ちなみにナステントも発売から2年以上経つものの利用者数は発表されていないため、CPAP治療の患者数との比較はできません。

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しかし、CPAP治療・ナステントともに医療機関でいびき・睡眠時無呼吸症候群(SAS)の対策方法として推奨されているのも事実です。

そこで今回はCPAP治療とナステントの違いをまとめて比較してみました。もしあなたが「どっちか試してみようかな?」と思っているのであればぜひ参考にしてみてください。

初期費用はいくらかかる?

まずは初期費用についてです。

CPAP:簡易検査+PSG検査が必要

病院へ行って「すいませーん! CPAPくださーい!」と言ってもいきなりは貸してくれません。まずはCPAP治療が必要かどうかの検査が必要です。なお、検査は大きく分けて2ステップあります。

  1. 簡易検査・・・3,000円〜4,000円程度
  2. PSG(ポリソムノグラフィー)検査・・・1.5万円〜5万円程度

が必要になります。両方とも健康保険が適用されるため3割負担で済みますが、医療機関によって金額はバラバラです。

ちなみに簡易検査は病院で測定器を借り、自分で自宅で測定する検査です。

また、PSG(ポリソムノグラフィー)検査は簡易検査の結果、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いがある場合に行われる1泊入院の検査です。そして、この検査で「AHI20以上」(1時間に10秒以上の呼吸停止が20回以上ある)と診断された場合にのみ健康保険を適用してCPAP治療を受けることができます。

ということは逆に条件に該当しなければCPAP治療は10割負担で行わなくてはなりません。これが重症度のSAS患者以外の利用者数の増加に繋がっていない一番の要因なのではないでしょうか。

ちなみにCPAP治療には専用の機器が必要ですが、これはレンタルできるので機器の購入などの初期費用は不要です。

ナステント:無料で試せる

一方のナステントは現状2種類のキャンペーンが用意されており、1つは無料キャンペーンなのでタダでナステントを試すことも可能です。
※現在は無料キャンペーンはありません。

初回利用までにかかる期間はどれくらい?

続いては最初に利用するまでに必要な期間についてです。

CPAP:2週間〜1ヶ月程度

先ほど説明した通り、CPAP治療を始めるためには2回の検査を受ける必要があります。また、簡易検査の測定器が別の患者さんに貸し出されている場合や1泊入院検査の予約が取れない場合もあり得るため、2週間〜1ヶ月程度の期間は見ておいた方が良いでしょう。

ナステント:初日から使える

ナステントはインターネットで買う以外にも全国のビックカメラ、病院、クリニックで当日購入してすぐに使うことができます。

現在は医療機関での受診が必須ですが、医療機関にナステントがあればその場で購入することも可能です。

全国のナステント取扱い施設

ランニングコストはいくらかかる?

続いてはランニングコストについてです。ここが一番財布に影響するところなのでしっかり把握しておきたいですね。

CPAP:保険適用なのでお安め

CPAPのレンタル料は約5,000円/月となっています。それに合わせて就寝中に機器を動かすための電気代が必要になります。と言っても毎日使っても300円/月だと思うので気にするほどでは無さそうです。

ただ、金銭的にも心理的にも負担になりそうなのが月1回の外来受診です。これはCPAP治療を保険適用で続けたいのであれば必ず通わなくてはいけないので病院までの交通費が掛かってきます。なので、CPAP治療をする場合は自宅から近い医療機関を選びましょう。

ナステント:非保険適用なのでお高め

最新の価格情報は「ナステントが再販開始! 価格や変更点、注意点をまとめました」でご確認ください。

一方のナステントは毎日利用しようと思うとかなり価格が高めです。
毎月1ヶ月分(7本入り×4箱)が届く定期便を活用しても13,440円/月の費用がかかります。

ただ、CPAP治療がもし健康保険適用されずに10割負担だったら16,000円以上ですからね。そう考えるとナステントの価格もべらぼうに高いという訳ではないんだと思います。
※そうは言っても高いことに変わりはありませんが……。

また、ナステントを使いたい人の中には「毎日使う気はないんだけど出張や旅行の時やお酒を飲んだ日の夜だけ使いたい」という人もいると思います。
※私もそのタイプです。

利用できるorできない場所や環境は?

続いては利用シーンに関してです。

CPAP:基本的には自宅利用に限定される

CPAP治療は専用の機器とそれを動かすための電源が必要になります。なので出張や旅行先で使おうと思って持って行っても電源が確保できないこともあるでしょう。

また、本体は1kg程度あり、サイズも大きいため持ち運びするには不便だと言わざるを得ません。車で運べる距離なら良いですが、電車移動のときなどは大変ですね。

ナステント:いつでもどこでも使える

その点ナステントは時間や場所を選ばずに使うことができます。また、重さもわずか47〜48グラムなので手軽に持ち運ぶことができるので利便性は非常に高いです。

自宅はもちろん、出張や旅行先でも使えますし、何なら新幹線やバス、飛行機などの公共交通機関でもOKです。

公衆の面前でいびきをかいてしまうのは恥ずかしいですからね。時間や場所を選ばずに使えるというのは大きなメリットです。

お手入れは面倒?

続いては毎日続くと何かと面倒になってくるお手入れ面です。

CPAP:割とお手入れが大変

CPAPは毎日同じ機器を使用するので少しお手入れに手間がかかります。特に夏場は湿気が多くなるのでマスクやホースにカビが生えることもあるため入念な手入れが必要です。

毎日マスクはウェットティッシュで拭いたり、マスクやホースの中が汚れている場合は水洗いして陰干し乾燥させる必要があります。

また、週に1度は中性洗剤でマスクやホースを洗ったり、数カ月に1度はフィルターを洗うor交換する必要もあります。

ナステント:使い捨てなのでお手入れ不要

ナステントは使い捨てタイプなのでお手入れは一切不要です。朝起きたらナステントを鼻から取り出して家庭ごみとして処分できます。

継続利用にあたっての手間は?

お手入れ以外にも継続利用する上で必要なことがあるので見て行きましょう。

CPAP:外来受診+引越し時の対応

先ほどの説明と重複しますが、CPAP治療は健康保険適用を受けるために必ず月に1回(場合によっては2ヶ月に1回)の外来受診が必要です。最初は良いかもしれませんが、慣れてくると交通費以上に時間と手間に対しての心理的ストレスが出てくる可能性があります。ちなみに外来受診の際は使用状況と効果をお医者さんに見てもらうために機器にセットされているメモリカードも持参する必要があります。

また、これは稀だと思いますが引っ越しをする時は必ず医療機関と機器メーカーへの連絡が必要です。そして引越し先でかかる医療機関を紹介してもらうことになります。

ナステント:継続購入が必要

ナステントで掛かる手間はほとんどないのですが、唯一挙げるとすれば消耗品なので継続的に購入する必要があるということです。

定期便を活用すれば勝手に送られてくるので良いのですが、おそらく私のようにスポット買いする人の割合の方が多いと思います。その時に何気に心理的負担になるのが購入時の金額です。

なので購入画面で心理的ストレスを感じる可能性もあります。
もちろんこれは「ナステントを高いと思わない」という人にとっては無関係なので、その人にとっては手間はほぼゼロと言えるんじゃないでしょうか。

いびき・睡眠時無呼吸症候群(SAS)への効果は?

続いては一番重要な効果の面です。どれだけ安くても便利でも流行っていても効果がなければ意味がありませんからね。

CPAP:手間の分、効果も絶大

まずCPAP治療は睡眠時無呼吸症候群(SAS)に対するもっとも有効な治療法と言われているだけあり、大きな効果が期待できます。CPAP装置からホース・マスクを介して空気が送られるため、いびきやSASの原因とされている狭くなった上気道を広げてくれることで正しい呼吸をサポートしてくれるからです。

特に重症度のSAS患者であればCPAPは必須の治療と言えるでしょう。

ナステント:手軽な割に効果も大きい

続いてはナステントです。ナステントはCPAPと違って上気道までチューブが届くわけではないので、CPAPと比べると効果は限定的です。

特に重症度のSAS患者の人や肥満で喉が常に圧迫されてしまっている人の場合は大きな効果は期待できない可能性もあります。

しかし、正しい鼻呼吸による呼吸法で上気道を広げるサポートをするという点ではとても優れた商品なので、多くの人は確かな効果が期待できるでしょう。

寝るときの不快感は?

続いては寝る時の不快感についてです。使いやすさも大切ですからね。

CPAP:装着の違和感、寝返りしにくい

まずCPAPは大掛かりなマスクを装着する必要があるので、違和感を感じてなかなか寝られないという人もいます。また、高齢の方であれば締め付けられたマスクの跡が残りやすくなるという懸念もあります。

そして寝返り時にはマスクからは伸びるホースを邪魔に感じる人もいます。

ナステント:チューブ挿入による異物感

一方ナステントの不快感はチューブ挿入による異物感が挙げられます。

ナステントは医療現場や治療で行われてきたチューブによる気道確保法を活用して開発された商品ですが、治療の場合は無意識の内に挿入されるケースが多いと思います。それを自分で意識がある時に挿入して装着したまま寝るわけなので、異物感を感じて寝られないという人もいます。

ただ、違和感は2〜3日で慣れたという人が多いようです。また、立ったり座ったりと身体を起こした状態だとナステントの先端が当たって違和感を感じやすいものの、寝る体制になると違和感が軽減されるという点も挙げられます。

パートナー・家族・友人など同室者への影響は?

さて、最後は同じ部屋・空間で寝る人への影響です。

CPAP:マスクやホースが邪魔、音がうるさいと感じる人も

CPAPは同じベッドで寝るのであればマスクやホースが邪魔になる場合があります。寝返りをした時にパートナーに当たったり、逆にパートナーが寝がえりをした時に当たってしまうこともあるでしょう。

また、CPAP機器が動いている時は少なからず音もするので、それが気になるという人もいます。ただ、いびきの音よりはよっぽどマシですので、ここは慣れてもらうしかないですね。

あとはそもそも大がかりな機会なので何の前情報もなく機器を見た人はビックリするはずです。

ナステント:いびきが静まれば他人に迷惑はかからない

一方ナステントは他人が見ても一見装着しているのかどうかすら分からないので、迷惑が掛かることはありません。

あるとすれば鼻からチューブを挿入していることを知った同室者が「えぇ……。何か痛そうだけど大丈夫なの?」と不安に感じることでしょうか。

結局CPAPとナステントはどちらが良いの?

ここまでCPAPとナステントを価格や手間、効果など様々な側面から比較して来ました。それでは、結局のところどちらを選べば良いのでしょうか?

結論としては「どちらも活用すべき」だと思います。CPAPとナステントを身近なもので例えるならパソコンとスマホみたいな関係と言えば分かりやすいかもしれません。

ガッツリ仕事を出したいのであればパソコンを使った方が良いですよね。でも移動中なんかのちょっとした時は大がかりなパソコンを開くよりスマホの方が便利です。スマホなら持ち運びも楽ですしね。

CPAPは健康保険適用の条件があるので一部の人しか使えないかもしれませんが、効果は絶大なので対象者の方はぜひ使いたいところです。しかし、出張や旅行、公共交通機関では常にCPAPを使えないので、そんな時にいびきを何とかしたいのであればナステントはかなり便利です。

つまり「CPAP or ナステント」ではなく「CPAP & ナステント」でシーンによって使い分けるのがベストというのが結論です。

まとめ

今回はいびき・睡眠時無呼吸症候群(SAS)のもっとも有効な治療であるCPAPとテレビや雑誌などでも注目されているナステントの比較をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?

先ほどの総括でも書きましたが、どちらか一方だけ使うものではなく、両方ともシーンによって使い分けることができる素晴らしい選択肢だと思います。

ナステントと違ってCPAPは病院へ行ったり検査を受けたりと何かと手間が掛かりますが、その代わり睡眠時無呼吸症候群(SAS)の人にとってはとても重要な治療なのでぜひ重い腰を上げて一度病院へ行ってみてください。

<追記:2017年6月12日>
2017年1月から一時販売停止していたナステントの再販が開始されました。

価格も以前より2割以上値下がりしています。

購入方法などの詳しい情報は「ナステントが再販開始! 価格や変更点、注意点をまとめました」でご確認ください。
—-追記終わり—-

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